森のへそ
Belly Button of the Forest
Matsudo Art Picnic '17,
Matsudo, 2017
Belly Button of the Forest
Matsudo Art Picnic '17,
Matsudo, 2017
松井紫朗は、池の中に丸みを帯びた細長いガラスシリンダーを設置し、気圧の関係によってその内部に池の水が充満する現象を利用して、池の水面の一部を隆起させることで《森のへそ》を出現させた。その「へそ」の中に上がってきた魚は、高い位置から池を俯瞰するという今までにない体験を味わうはずだ、と松井が語るのを聞いた時、シリンダーの中に迷い込んでしまった魚の目に映った風景、きらめく水面や対岸に立つ人間の朧げな姿が一瞬見えるような気がした。池のそばでは、松井が2014年から日本で行ってきたプロジェクト《手に取る宇宙》も実施された。
このプロジェクトの参加者は、宇宙飛行士が宇宙から持ち帰ってきた「宇宙の空気/存在のかけら」を封じ込めたガラスボトルを、実際に手に取ることができる。ガラスシリンダーの「へそ」とガラスボトルの「宇宙」、透明な容器に包まれた「異界」の存在を通じて、水中の生物と頭上に広がる宇宙に存在するかもしれない生物、対照的な両者の視界に瞬間的にワープさせるような作品であった。 松戸アートピクニックカタログ 「松戸アートピクニック」巡覧覚書」 高橋しげみ(青森県立美術館学芸主幹)からの抜粋 |
© 2020 Shiro Matsui
All rights reserved |